産廃収運業の【積替え保管】許可はとれるの?

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✔積替え保管の許可をとりたい

✔運搬コストを下げたい

✔処理場に運ぶ頃には処理場が閉まっている…

この記事では、産廃収集運搬業の積替え保管ありの許可についてわかりやすく解説しています。

積替え保管とは?

通常の産廃収集運搬業許可の場合は、収集したその日のうちに産廃物を処分場にそのまま運ぶことが原則となっています。でも例えば、建設現場のガラを収集した後に処分場まで運ぶにも、処分場が閉まっていることもありますよね。また、少量の産廃物をいちいち運搬していたら運搬費がかさんでしまうなんてこともありますよね。

そこで、一度保管施設に産廃物を保管して、ある程度の量がたまったら処分場に運ぶ、というのが積替え保管になります。業者さんによっては、産廃物の中に有価物が混ざっているから選別してから運びたいというニーズもあるでしょう。

 

積替保管「あり」と「なし」で許可申請に何か違いがあるの?

では、積替え保管ありとなしでは、許可取得時に何か違いがあるのでしょうか?もちろんあります。通常の産廃収運業許可取得の要件を満たすだけでなく、保管施設の要件も満たす必要があります

当然ですが、保管場所がないと保管できませんよね。でも、保管場所はどこでも良いわけではないし、どんな構造でもOKでもないんです。保管基準等の基準をクリアしたものでないといけません。また、他の法令による制限や規制などもありますので、法令調査も念入りにしておきたいところです。

 

保管基準について

では、具体的に積替え保管施設で満たすべき基準について解説しますね。まずは、以下の「産廃物の保管基準」と「積替保管の基準」を満たす必要があります。

【産廃物の保管基準】
1.保管場所の周囲に囲いが設けられていること(囲いの素材は特に決まっていない)。保管する産廃物の荷重が囲いに直接かかる場合には、その荷重に対して構造体力上安全であること。
2.産廃物の保管に関して必要な事項を表示した掲示板が見やすいところに設けられていること(掲示は許可取得後でOK)。
 a.産廃物の保管場所である旨の表示
 b.保管する産廃物の種類
 c.保管場所の管理者の指名または名称および連絡先
 d.屋外で容器を用いないで保管する場合は、最大積み上げ高さ
 e.掲示板の大きさは、縦60cm×横60cm以上
3.保管場所から産廃物の飛散、流出、地下浸透、悪臭発散が生じないような措置をとること。
4.産廃物の保管に伴って汚水が生ずるおそれがある場合は、公共水域および地下水の汚染防止のために必要な排水溝、その他の設備を設けるとともに、それらの設備の底面を不浸透性の材料で覆うこと。
5.保管場所には、ねずみが生息したり、蚊、ハエその他の害虫が発生したりしないようにすること。
6.産廃物を容器に入れずに屋外で保管する場合は、次のようにすること。
 a.廃棄物が囲いに接しない場合は、囲いの下端から勾配50%以下。
 b.廃棄物が囲いに接する場合(直接壁に負荷がかかる場合)は、囲いの内側2mは囲いの高さより50cmの線以下とし、2m以上の内側は勾配50%以下とする(勾配50%とは、底辺:高さ=2:1の傾きで役26.5度)。
7.石綿含有産業廃棄物にあっては、次に掲げる措置を講じること。
 a.保管場所には、石綿含有産業廃棄物がその他の物と混合することのないように、しきりを設ける等必要な措置を講じること。
 b.覆いを設けること、梱包することなど石綿含有産業廃棄物の飛散の防止のために必要な措置を講ずること。

【積替保管の基準】
1.あらかじめ、積み替えを行ったあとの運搬先が定められていること。
2.搬入された産廃物の量が、積替保管場所において適切に保管できる量を超えないこと
3.搬入された産廃物の性状に変化が生じないうちに搬出すること
※収集運搬における積替保管数量の上限は
保管上限=1日あたりの平均搬出量×7

 

他の法令も要注意

産廃収集運搬業許可の根拠となる「廃掃法」以外にも法律による制限や規制があります。上記の基準を満たしたからといって適法に施設を建設できるとは限りません。宮城県の場合、下記のような場所でないことを調べるように基準が設けられています(宮城県では基準として設けているものの、調査の結果までは確認されません。もっとも、違法建築物を建設するわけにはいかないので、弊所ではきちんと法令調査をしております)。

⑴ 積替保管施設については、(特管)産廃収集運搬業の許可もしくは変更許可の申請時に次の要件を満たすこと。
 イ 学校、病院、診療所、図書館又は社会福祉施設の係る土地の敷地境界からの距離が、おおむね100m以上であること。
 ロ 次に掲げる自然環境の保全を図る必要のある地域等を含まないこと。
  a 自然公園特別区域
  b 自然環境保全地域特別地区
  c 鳥獣保護区特別保護区
  d 緑地保全地区
  e 風致地区
 また、次に掲げる区域等を原則として含まないこと。 
  a 自然公園普通地域
  b 自然公園保全地域普通地区
  c 緑地環境保全地域
  d 鳥獣保護区
  e 緑地保全地域
 ハ 次に掲げる災害防止のために保全を図る必要のある区域等を含まないこと。
  a 保安林、保安林予定森林、保安施設地区及び保安施設地区予定地区
  b 河川区域
  c 急傾斜地崩壊危険区域
  d 砂防指定地
  e 地滑り防止区域
  f 海岸保全区域
 ニ 公共施設として、土地利用計画がある区域を含まないこと。
 ホ 文化財保護を図る必要のある場所を原則として含まないこと。
 ヘ 優良農用地又は優良農用予定地として保全を図る必要のある地域を原則として含まないこと。
 ト その他知事が積替保管施設にかかる土地として不適当と認める場所を含まないこと。
⑵ 地滑り、土砂崩れなどの災害の未然防止に十分留意すること。

 

積替保管の許可取得の流れ

以下、積み替え保管の許可取得の流れを説明します。この流れしかないわけではありませんので、あくまで目安と思って下さい。

①産廃の担当課に事前相談

各自治体ごとに運用が異なりますので、申請先の担当課(保健所など)に事前に相談されると良いでしょう。かならずしなければならないわけではないですが、相談しないで要件の見落としなどをすると危険です。

相談の際には、候補地や保管施設の概要を説明できるように準備しておくと良いです。そうでないと具体的な話ができず、何回も相談に通うことになります。時には話すら聞いてもらえないことも…。

もし、「具体的に決まっていないけど、話だけ聞きたい!」という方は、「積み替え保管の要件について知りたいんだけど、何か資料はありますか?」と相談すると良いでしょう。何かしらの情報をくれるはずです。

 

②候補地の法令調査

日本は法治国家ですから、いろんな細かい法律で規制されています。ですので、各種法令に違反しないように、各種法令の調査を行い、その候補地で積み替え保管施設を設けて問題ないかを確認します。例えば、候補地が農地の場合などは農地転用の許可が必要となる場合があります。

ちなみに、担当課の方々は産廃のことのみ担当している(いわゆる縦割り行政)ため、他の法令についてはよく知らないことがほとんどです。聞いても「わからないから担当課に問い合わせて下さい」と返されることもよくあります。そんなときは、行政書士などの専門家に法令調査を依頼すると安心して施設の建設ができますね!

 

③申請書の作成

保管施設について各種法令調査も済み、要件確認の上要件を満たしていれば、安心して申請することがでいます。申請書を作成し、担当課に申請しましょう。

 

まとめ

以上、産廃収運業の積替え保管の許可について解説してきました。基本的には保管基準というものを満たせば許可申請が可能となります。もっとも、自治体によって運用が異なる場合がありますので、申請先の保健所等に確認することをおすすめします。もし、わからない場合は我々行政書士が対応できますので、是非一度ご相談下さい。

【記事の執筆者】

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