・産廃業を始めたはいいけどマニフェストの取扱いがよくわからない…
・マニフェストの流れを図でイメージしたい
・記入方法を知りたい
このようなお悩みをお持ちの方は、この記事を読むことで、マニフェストの流れや記載方法などがわかるようになります。
- 記事の信頼性
記事執筆者は産廃専門の行政書士です。弊所でいただいた生の声などをもとに執筆しております。
また、記事内で扱うデータは出典を明示しております。
目次
そもそもマニフェストとは?
まず、マニフェストは何のためにあるの?というと、産廃物の排出事業者の明確化や産廃物の流れを明確化することで適正処理を目指すために実施されています。なので、マニフェストには廃棄物の名称、運搬業者、処分業者などを記載するんですね。排出事業者は最終処分が終了するところまで責任をもってマニフェストで産廃物の流れを確認するシステムとなっています。
ところで、紙のマニフェスト(複写式の伝票)をよく目にしますが、国としては電子マニフェストを普及する方向で頑張っています。しかし、電子マニフェストの利用には排出事業者、収集運搬業者、処分業者の3者間で加入が必要なため、紙マニフェストの利用がまだまだ多い状況です。もっとも、電子マニフェストで管理しておけば、各自治体の年次のマニフェスト報告なども楽になります。ちなみに紙マニフェストは各都道府県の産業廃棄物協会で購入可能です。
排出事業者(中間処理業者が排出事業者となる場合も含む)は、マニフェストの交付後90日以内(特別管理産業廃棄物の場合は60日以内)に、委託した産業廃棄物の中間処理(中間処理を経由せず直接最終処分される場合も含む)が終了したことを、マニフェストで確認する必要があります。また、中間処理を経由して最終処分される場合は、マニフェスト交付後180日以内に、最終処分が終了したことを確認する必要があります。
排出事業者は、上記の期限を過ぎても処理業者からのマニフェストによる処理終了報告がない場合には、委託した産業廃棄物の処理状況を把握した上で適切な措置を講ずるとともに、その旨を都道府県等に報告する必要があります。
マニフェスト交付の流れ
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- 【紙マニフェストの場合】
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①紙マニフェストの交付(排出事業者⇒収集運搬業者)
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排出事業者がマニフェストのA票に必要事項を記入し、廃棄物を収集運搬業者に引渡す際にA票以外ののマニフェストも渡します。排出事業者はそのA票を5年間保存します。
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②運搬終了時(収集運搬業者⇒処分業者、収集運搬業者⇒排出事業者)
収集運搬業者は、預かっていた残りのマニフェストを廃棄物とともに処分業者に渡します。処分業者は所定欄に署名のうえ、B1票B2票の2枚を収集運搬業者に返します。収集運搬業者はB1票を自らの控えとして保管し、B2票を排出事業者に1日以内に送付し、運搬が終了したことを排出事業者に報告します。
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③処分終了時(処分業者⇒収集運搬業者、処分業者⇒排出事業者)
処分業者は、処分終了後、マニフェストの所定欄に署名し、収集運搬業者にC2票を、排出事業者にD票(最終処分の場合はE票も併せて)を1日以内に送付し、C1票は自ら保存します。処分(中間処理)業者は受託した産業廃棄物を中間処理した残さ(中間処理産業廃棄物)の最終処分が終了するまでの間E票を保管します。
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④最終処分終了時(処分業者⇒排出事業者)
処分業者は、自ら交付したマニフェスト(2次マニフェスト)等により最終処分の終了を確認し、保管していた排出事業者のE票に最終処分終了年月日、最終処分の場所を記載の上、排出事業者に10日以内に返送します。
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⑤返送されたマニフェストの確認および保存
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(ア)排出事業者による確認
排出事業者は、A票と収集運搬業者、処分業者から戻ってきたB2票、D票、E票を照合し、適正であることを確認しなければなりません。
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(イ)マニフェスト伝票の保存
保存期間は、マニフェストの交付日または送付を受けた日から5年間です。排出事業者はA票、B2票、D票、E票を、収集運搬業者はC2票を、処分業者はC1票を保存します。
(※参考文献:公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター『産廃知識 マニフェスト制度』)
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【紙マニフェストの流れ説明図】
【電子マニフェストの場合】
情報処理センターが間に入り通知を行うため、紙マニフェストの場合と少し流れが異なります。
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①マニフェスト情報の登録 (排出事業者⇒情報処理センター)
排出事業者は産業廃棄物を収集・運搬者または処分業者に引き渡してから3日以内に必要情報をパソコンで入力し情報処理センターにマニフェスト情報の登録を行います。
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②運搬終了報告 (収集運搬業者⇒情報処理センター)
収集運搬業者は①で登録されたマニフェスト情報に対して、運搬が終了した日から3日以内に情報処理センターに運搬終了報告を行います。
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③中間処理終了報告 (中間処理業者⇒情報処理センター)
中間処理業者は①で登録されたマニフェスト情報に対して、中間処理が終了した日から3日以内に情報処理センターに処分(中間処理)終了報告を行います。
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④運搬終了報告・処分(中間処理)終了報告の通知 (情報処理センター⇒排出事業者)
情報処理センターは、運搬終了報告または処分(中間処理)終了報告を受けた場合、排出事業者のパソコンに運搬または処分(中間処理)が終了した旨の通知を行います。
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⑤2次マニフェスト情報登録 (中間処理業者⇒情報処理センター)
中間処理業者は、廃棄物を引渡した日から3日以内に産業廃棄物の種類ごとおよび行き先(処分事業場)ごとにマニフェスト情報の登録を行います。
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⑥中間処理後の廃棄物の運搬終了報告 (収集運搬業2⇒情報処理センター)
収集運搬業者2は、運搬が終了した日から3日間以内に、情報処理センターへ運搬終了報告を行います。
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⑦中間処理後の廃棄物の最終処分終了報告 (最終処分業者⇒情報処理センター)
最終処分業者は、最終処分が終了した日から3日間以内に、情報処理センターへ最終処分が終了した旨を報告します。
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⑧運搬終了報告・最終処分終了報告の通知 (情報処理センター⇒中間処理業者)
情報処理センターは、運搬終了報告または最終処分終了報告を受けた場合、中間処理業者のパソコンに運搬または最終処分が終了した旨の通知を行います。
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⑨中間処理業者からの最終処分終了報告 (中間処理業者⇒情報処理センター)
中間処理業者は①で登録されたマニフェスト情報に対して、⑥の最終処分終了報告を受けた日から3日以内に情報処理センターに最終処分終了報告を行います。
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⑩排出事業者への最終処分終了報告 (情報処理センター⇒排出事業者)
情報処理センターは、中間処理業者から最終処分終了報告を受けた場合、排出事業者のパソコンに最終処分が終了した旨の通知を行います。
(※参考文献:公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター『産廃知識 マニフェスト制度』)
マニフェストの記入例
排出事業者がまずはA票に記入することになりますが、その際には以下の項目を記載することとなっています。いわゆる法定記載事項と呼ばれるものです。
- □管理票の交付年月日及び交付番号
- □管理票の交付を担当した者の氏名
- □(排出事業者の)氏名又は名称及び住所
- □産業廃棄物を排出した事業場の名称及び住所
- □産業廃棄物の種類(石綿含有産業廃棄物が含まれる場合はその旨を含む)
- □産業廃棄物の数量
- □産業廃棄物の荷姿
- □当該産業廃棄物に係る最終処分を行う場所の所在地
- □運搬を受託した者の氏名又は名称及び住所
- □運搬先の事業場の名称及び所在地
- □処分を受託した者の氏名又は名称および住所
- □処分を受託した者が産業廃棄物の積み替え又は保管を行う場合には、当該積み替え又は保管を行う場所の所在地
- □石綿含有産業廃棄物が含まれる場合はその数量
ところで、「産業廃棄物の数量」とありますが、この数量の記載方法がわからないという方もいらっしゃるのでないでしょうか。正確な数量(t、ℓ、㎥など)がわからない場合もありますよね。数量は単位に制限されることなく、例えば運搬容器何個分とか○tトラック○台分という書き方でもOKとされています。ですので、正確な数量(t、ℓ、㎥など)がわからない場合はそのような方法で記載することができるんですね。
マニフェストの保管期間
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紙マニフェストを交付する場合には保管期間があります。
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保管期間は、マニフェストの交付日または送付を受けた日から5年間です。排出事業者はA票、B2票、D票、E票を、収集運搬業者はC2票を、処分業者はC1票を交付又は送付を受けた日から保存しましょう。
さいごに
今日はマニフェストはどういった目的で交付するものなのか、マニフェストの流れ、記載方法、保管期間についてご紹介しました。
これから稼働する業者さんも既に稼働している業者さんも、適切なマニフェスト交付によって産業廃棄物の適正処理を心掛けられると良いですね。
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