これまでに安全性、収益性、効率性の財務指標について解説してきました。
今回解説する返済能力の財務指標で最後のお話となります。
もっとも、これ以外にも財務指標はたくさん存在します。よく使うもの、また、使い勝手の良いものという趣旨でご紹介しているものに関しては今回で最後になります。
今回のお話は特に銀行などの金融機関取引で大いに効果を発揮しますので、是非最後までご覧ください。
返済能力の財務指標には減価償却前経常利益(簡易キャッシュフロー)、借入月商倍率、債務償還年数、インタレストカバレッジレシオがあります。
目次
減価償却前経常利益(簡易キャッシュフロー)
減価償却前経常利益(簡易キャッシュフロー)とは、企業の収益性を見る指標です。金融機関との取引をする際に、返済財源となる数字のため金融機関が注目する指標でもあります。
借入月商倍率
借入月商倍率=有利子負債合計÷平均月商
※有利子負債合計=長期借入金+短期借入金+社債
※平均月商=年間売上÷12
借入月商倍率とは、借入金額が平均月商の何倍か(何か月分か)を表す指標です。一般的には3倍以内が正常値と言われており、6倍を超えると赤信号と認識されています。会社であといくら借入できそうかを考える際に役立つ指標です。
例えば、借入月商倍率が4倍だとすると、あと平均月収の2か月分くらいは借入できそうかな、というイメージになります。
債務償還年数
債務償還年数=(有利子負債合計-経常運転資金)÷簡易キャッシュフロー
※経常運転資金=売上債権+棚卸資産-仕入債務
債務償還年数とは、借入金額を返済するまでに何年くらいかかるかを表す指標です。債務償還年数が短いほど返済能力が高いとされ、金融機関の債務者格付けも高くなります。債務償還年数は10年以内を目指しましょう。
インタレストカバレッジレシオ
インタレストカバレッジレシオとは、金融費用の支払い能力を示す指標です。金融費用(支払利息+割引料)に対する事業利益の比率を表します。金融機関が重要視する指標です。
この倍率が高いほど利息の支払い能力が高く、有利子負債の返済の安全性が高いとされます。
まとめ
今回は銀行などの金融機関が重要視する財務指標について解説してきました。資金調達をする際に分析することで、いくら借入できそうか、今後返済が経営を圧迫しないか、ということがわかります。是非参考にして見て下さい。
【記事の執筆者】
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