この記事では、配置技術者とは何か?主任技術者・監理技術者の違いについてわかりやすく詳しく解説しています。
目次
配置技術者とは?
建設業法では、請け負った工事について配置技術者を置かないといけないことになっています。
(主任技術者及び監理技術者の設置等) |
配置技術者には、主任技術者と監理技術者がいます。配置技術者という名前の技術者がいるわけではなく、主任技術者と監理技術者のことをまとめて「配置技術者」と呼んでいます。
下図をご覧ください。この書類は、年度ごとに提出する決算変更届の工事経歴書のひな形です。赤丸のところに「配置技術者」と書いてあり、「主任技術者」か「監理技術者」を選ぶ項目がありますね。
主任技術者とは?
建設業法では、建設業の許可を受けた者が建設工事を施工する場合には、元請・下請や請負金額に係わらず、工事現場での工事の施工技術上の管理をつかさどる者として、主任技術者を配置しなければならないことになっています (法第26条第1項)。
簡単にいえば、「とにかく下請けだろうが元請だろうが、そして請負金額がいくらだろうが、主任技術者を配置してくれ」ということです。
監理技術者とは?
発注者から直接請け負った建設工事(元請として受注した工事)を施工するために締結した下請契約の請負代金の額の合計が4,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)以上となる場合には、特定建設業の許可が必要となるとともに、主任技術者に代えて監理技術者を配置しなければなりません(法第26条第2項)。
※法改正前は「下請契約の請負代金の額の合計が4,000万円(建築一式工事の場合は6,000万円)以上」でした。情報が更新されていない記事にご注意下さい。
簡単に言えば、「元請として受注した工事を4,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)以上の金額で下請に出す場合は、主任技術者じゃなくて監理技術者を配置してね」ということです。そして、特定建設業許可の業者さんのみが対象となりますので、一般建設業許可の業者さんの場合には監理技術者はいらないことになりますね。
工期の途中で大幅な工事内容の変更があった場合
⼤幅な⼯事内容の変更等により、⼯事の途中で下請契約の請負代⾦の額が4,500万円(建築⼀式⼯事の場合は7,000万円)以上となったような場合には、配置技術者を主任技術者から監理技術者に再設置しなければなりません。ただし、⼯事施⼯当初においてこのような変更があらかじめ予想される場合には、当初から監理技術者になり得る資格を持つ技術者を設置しなければなりません。
雇用関係について
主任技術者⼜は監理技術者については、⼯事を請け負った建設業者との間に「直接的かつ恒常的な雇⽤関係が必要」とされています。したがって原則以下の①②のような技術者の設置は認められないことになっています。
① 直接的な雇⽤関係を有していない場合(在籍出向者や派遣社員など) |
《注意》
- 国、地⽅公共団体等が発注する公共⼯事において、元請の専任の監理技術者等については、所属建設業者から⼊札の申込のあった⽇(指名競争に付す場合であって⼊札の申込を伴わないものにあっては⼊札の執⾏⽇、随意契約による場合にあっては⾒積書の提出のあった⽇)以前に3ヵ⽉以上の雇⽤関係にあることが必要です。
- 恒常的な雇⽤関係については、監理技術者資格者証の交付年⽉⽇若しくは変更履歴⼜は健康保険被保険者証の交付年⽉⽇等により確認できることが必要です。
主任技術者及び監理技術者の職務
主任技術者及び監理技術者は、建設⼯事を適正に実施するため、下図のように建設⼯事の施⼯計画の作成、⼯程管理、品質管理及び⼯事の施⼯に従事する者の技術上の指導監督の職務を誠実に⾏わなければなりません。
※以下の職務は、業務内容及び業務環境に応じて、テレワークにより⾏う場合も含まれます。
主任技術者になるには?
主任技術者になれるのは以下の要件をクリアした方だけです。
①一級・二級国家資格 ②実務経験 |
つまりは、専任技術者と同等の資格や経験が必要ということですね。
監理技術者になるには?
監理技術者になれるのは、以下の要件を満たした方だけです。
①一級国家資格を持っている ②実務経験(※指定建設業では実務経験NG) |
※指定建設業…土木一式、建築一式、管工事、鋼構造物工事、舗装工事、電気工事、造園工事の7業種
監理技術者の方は監理技術者資格者証の交付を受け、かつ、監理技術者講習を修了していることが必要です。工事現場においては監理技術者証の携帯が義務づけられていますので、発注者の請求があったときは提示しなければなりません。
※ちなみに、監理技術者資格証を発行している団体は(一財)建設業技術者センターですが、監理技術者講習を行っているのは(一財)全国建設研修センターなどの団体です。
専任の配置技術者
公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な建設工事で、請負金額が4,000万円(建築一式工事にあつては8,000万円)以上の工事については、専任の配置技術者を置かないといけないことになっています。
「専任」とは、他の工事現場に係る職務を兼務せず、常時継続的に当該工事現場に係る職務にのみ従事していることを意味します。
(主任技術者及び監理技術者の設置等) |
具体的には、下記の建設業法施行令で定める建設工事で、専任の配置技術者を置かなければなりません。
(専任の主任技術者又は監理技術者を必要とする建設工事) |
まとめ
配置技術者には主任技術者と監理技術者がいます。
基本的には主任技術者は必ず配置しなければなりませんが、下請契約の請負代金の額の合計が4,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)以上となる場合には、特定建設業の許可が必要となるとともに主任技術者に代えて監理技術者を配置しなければなりません。
そして、公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な建設工事で、請負金額が4,000万円(建築一式工事にあつては8,000万円)以上の工事については、専任の配置技術者を置かないといけません。